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『デスノート』の新作ネームを読んで、どうしても分からなかった事

はじめに

 

朝から話題になっている、『DEATH NOTE』の新作ネームを読んだ。

漫画は全巻持ってたけど(実家にあるから手元にない)、話をかなり忘れてしまっているのでストーリーを理解できるか不安もあったものの、全く問題なく楽しめる内容。

 

期間限定での公開されているようなので読んでいない方は、先に読む方が良いかと。ネタバレという程はしていないが、キーとなる単語は出しているので。

 

懐かしのデスノート

DEATH NOTE』は言わずと知れた話題、人気作で海外でも非常に人気が高い。先日発表されたフランスの日刊紙「ル・モンド」による「日本の漫画傑作20選」でも選ばれている。

 

選考委員やその世代によるので、これに選ばれる事がどうとは言わないが、一定以上の評価と人気の表れである事に間違いはないだろう(特にフランス)。またアニメ版も、海外のアニメリアクション系のYOUTUBERから人気が高く、比較的古い作品ながら、『鋼の錬金術師』などと同様に投稿数が多い。

 

DEATH NOTE』では、夜神月(a.k.aポテチを巧みに食べる人)が徹底してルールの確認(死神すら知らないデスノートの仕様)や、抜け道の発見をする事で、計画を優位に進めようとした。秀才である彼らしい戦い方である。デスノートだけでなく、周囲の人間をコマとして利用しダークサイドにどんどん落ちていく彼の姿は、ジャンプ漫画における異能力者バトルモノの亜種として、或いはピカレスクモノとして痛快であった。

 

しかし『DEATH NOTE』の連載終了から長い時間が経過し、我々の生活する現実世界は大きく変化した。

例えば、今作で田中実が利用したツイッターであるが、ウィキによるとツイッター社が設立されたのは2006年で、『DEATH NOTE』が連載終了したのも2006年なので、まさに変わった世界を如実に表している。

新たな社会的ルールや空気、情勢、ツールの登場は、デスノートを効果的に利用する手助けになる反面、連載時ならば通用した(かもしれない)手段も今では通用しない事の裏返しでもある。

実際、作中田中実により言及される様々な違いが、現代においてデスノートを上手く利用する事が如何に難しくなったかを物語っている。(月が生きていたら、また違うやり方が見られたかと思うと、ある意味悔やまれる)

 

木を隠すなら森の中とは古来からの常とう手段だが、デスノートの忘却ルールを踏まえてかく乱する計画は巧みだ。元々、劇場型犯罪であったものを更にアップデートし、人々を如何に巻き込むか、抑止力としての武器、2019年の若者にとってのデスノートの使い道など様々な面白要素が詰まっている。

 

ルールの追加/更新という理不尽さをご都合主義と考えるか、所詮人間が知恵を絞り上手く使ったところで死神の手の中でデスノートを手にした者は不幸になる」事の証左と考えるかによって評価は分かれるかもしれないが、エンターテイメント作品として楽しめる『DEATH NOTE』の名に違わない作品だった。

 

理解できなかった事

 

可能性1

1点どうしても理解できなかった事がある。

展覧会開催や、新元号の年、現実時間と合わせる意味で2019年が設定として必要なのは理解できる。しかし、田中実が何故2年待ったかだ。

 

「Cキラ」事件が発生したのが2013年、今作の冒頭でも「2013年」と表記され、Cキラの死神ミードラからリュークデスノートが譲渡されている。つまり、リュークは2013年から田中実と初めて接触する2017年までの空白がある。

 

田中実は2017年の時点で、職員室の教員の会話から「3年連続トップ」である事、「中学生」である事が理解できる。普通に考えれば彼は2017年時点で中学3年となる。

また、考えづらいが小学校6年、中1、中2のテストを「3年連続」と考え中2とも考えられるが、少し無理があるだろう。なので2017年、彼は中3と考える。

 

それから2年後の2019年、彼は高校2年となる。田中実が口座への振り込みを目的としていたから銀行口座の開設年齢を待ったのかとも考えたが、それもおかしい。

 

現実で考えると口座開設に年齢制限を設けていない銀行は存在し、年齢制限があるものでも親の同意や15歳以上などの条件付きで、2年待たなくても十分回避できるものばかりだ。仮に、口座開設のためとするなら、誕生日まで、1年後でも成り立つものをわざわざ2年としている。

 

作中にヨツバ銀行に関して何か描写がありそれが理由で2年ならば僕の見逃しになるが、口座開設が彼の2年待った理由としては少し考えづらかった。(でもこれが一番それっぽいかなとも思ってしまう)

 

可能性2

ツイッターハッシュタグも大事な要素であるが、前述したようにツイッター社が設立されたのが2006年で、日本においては2011年の震災以降より多くの人にも浸透したはずだ。「Cキラ」事件が2013年であり、既にこの時点でツイッターは社会の一部と化している。なので2017年時点で計画をたてた田中実が待つ必要もない、寧ろ2年待つ事により、更なる社会やツール、システムの変化で計画に問題が生じる恐れもある。

なのでツイッターに関しても関係はなさそう。

 

念のために2017年5月に現実に何か関連するニュースや事件が起こったのではないかと思って検索したが、どれも関連性が薄くこれといったものが見つけられなかった。

 

うーん、わからん。意味もなくその設定を設ける事はないはずなので、何らかの意図はあるのだろうけど、改めて自分のアホさ加減にゲンナリしてしまうが、こんな事はさて置き面白かったので良きという結論。

 

余談だが、もう1点些末な疑問がある。「田中実」という名前だ。漢字が全て左右対称になっているのが分かるだろう。(これは決して左右対称なら○○だという意味ではない)読み切りとはいえ、中2病全開のネーミング夜神月の、後継者たる存在の新キラである主人公の名前に何の意味もないとは考えづらい。

原作者同様に、何かのもじりか読み替えかとも考えたが、上手く見つけられなかった。

 

それにしても、松田の強行突撃に対してリュークの「おっ久しぶり」は笑ってしまった。多分読んでいる人は松田の松田らしさに「おっ久しぶり」と思ったに違いない。

 

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